ドラマをきっかけに『対岸の家事』の原作を探しはじめて、そもそも小説なのか漫画なのか、何冊あるのかが分からないまま止まっている人は多いはずです。ドラマと同じ話を追うだけなら読む意味があるのかも、買う前に気になるところでしょう。
原作は朱野帰子が書いた小説で、講談社文庫の1冊で完結します。漫画版はなく、続編もありません。家事をすることを仕事に選んだ専業主婦の詩穂と、そのまわりで限界を迎えていく人たちを描いた長編です。
この記事では、作品情報とネタバレなしのあらすじ、どんな人に向いているかを紹介します。筆者が実際に読んだ感想と、Audibleで聴いた感想もまとめました。
Kindle Unlimitedで読めるのか、タイトルはなんと読むのかといった疑問にも、最後にまとめて答えています。
小説『対岸の家事』の作品情報
小説『対岸の家事』の基本情報は以下のとおりです。
| 書名 | 対岸の家事 |
|---|---|
| 著者 | 朱野帰子 |
| 出版社 | 講談社 |
| レーベル | 講談社文庫 |
| 発売日 | 2021年6月15日 |
| ページ数 | 448ページ |
| 冊数 | 1冊で完結 |
著者の朱野帰子は『わたし、定時で帰ります。』の作者です。働く人を書いてきた作家が、家庭のなかの労働を正面から書いた長編にあたります。
単行本は2018年に講談社から刊行され、その3年後に文庫化されました。いま書店やストアに並んでいるのは、上の表の講談社文庫版です。
小説『対岸の家事』のあらすじ
舞台は現代の日本。家族のために家事をすることを仕事に選んだ専業主婦・詩穂と、幼い娘の二人きりの毎日から物語ははじまります。
幸せなはずなのに、詩穂は自分の選んだ道が正しかったのか迷っています。そんな詩穂のまわりには、性別も立場も違うのに、同じように現実に苦しんでいる人たちがいました。
二児を抱えたワーキングマザーは、自分に熱があっても仕事を休めません。医者の夫との間に子どもができない主婦は、姑や患者からプレッシャーをかけられ続けています。
外資系企業で働く妻の代わりに2年間の育休をとったエリート公務員は、1歳の娘と二人で家に取り残されました。三人とも誰にも頼れないまま、少しずつ限界へ近づいていきました。
詩穂は、その人たちを励ますでも正すでもなく、そばで話を聞くところから関わりはじめます。そして、自分にできることはなにかを考えはじめます。
小説『対岸の家事』はこんな人におすすめ
小説『対岸の家事』は、こんな人におすすめです。
- 通勤や通学の細切れ時間で、続きが気になる小説を読み進めたい人
- 家事や育児に追われていて、自分が感じていることを言葉にしにくい人
- 働き方や家庭の分担をあつかった小説を読みたい人
448ページの1冊完結なので、続きを買い足す必要はありません。章ごとに視点が入れ替わる構成で、電車のなかで少しずつ読んでも筋を見失いません。
専業主婦、ワーキングマザー、育休中の男性と立場を変えて書かれているので、どこかに自分と近い状況の人が出てきます。自分の毎日をどう説明していいか分からない人ほど、言葉を借りられる場面が多いはずです。
逆に、家事や育児の描写が続くのが苦手な人には、序盤が重く感じられるかもしれません。
小説『対岸の家事』を読んだ感想
筆者がこの本を手に取ったのは、ドラマを見たのがきっかけでした。読んだのはここ数か月のうちで、通しで1回です。
よかったところ
感心したのは、立場の違う三人の事情が同じ重さで並んで進んでいくところです。熱があっても休めないワーキングマザーも、姑や患者からプレッシャーをかけられ続ける主婦も、2年間の育休をとった男性の公務員も、それぞれ違う形で割を食っています。読みながら誰か一人に肩入れすることができませんでした。
いちばん真に迫っていたのは、追い詰められていく過程の書き方でした。三人とも、人に助けを求めるという選択肢が最初から頭にないまま抱え込んでいきます。周囲がかける何気ない一言が刺さっていく場面では、読んでいて息が詰まりました。
そのなかで、詩穂の受け止め方が印象に残りました。相手を否定せず、ただ話を聞くだけの場面が何度も出てきます。
自分が専業主婦を選んだことを、誰とも比べようとしないのもよかったです。詩穂自身が答えを持っているわけではなく、迷いながら動いているところも好きでした。
夫の虎朗の立場にも納得しました。共働きが当たり前になった職場で、妻が専業主婦だと言い出しにくい空気が書かれています。気づかっているつもりの言動が詩穂とすれ違う場面は、読んでいて居心地が悪くなりました。
ドラマを先に見ていたので展開は知っていましたが、それでも読む手が止まりませんでした。
合わないと感じたところ
序盤の、詩穂と娘の一日が繰り返し描かれるあたりは、家事の描写が細かく続いて読む速度が落ちました。
同じような一日が積み重なる部分は、結局ざっと読み飛ばしています。飛ばしても話の筋を追うのに困ることはありませんでした。
Audibleで小説『対岸の家事』を聴いた感想
筆者は学生で、通学の電車やバスと、車の運転中にAudible版を聴いていました。再生速度を少し速めにして、通しで1回聴き終えています。

よかったところ
よかったのはナレーションです。村上麻衣の読み方は基本的に淡々としていて、電車のなかでも運転中でも耳が疲れませんでした。
そのぶん、感情が乗る場面との差がはっきり出ます。追い詰められていく人のモノローグでは声が沈んでいくのが分かって、そのまま引き込まれました。
詩穂と相手のやり取りや、周囲の一言が刺さる場面も同じです。悪気のない一言が声に出して読み上げられる瞬間は、文字で読んだときよりきつく聞こえました。
子どもとのやり取りの場面では、逆に声の調子が軽くなります。切り替わり方が気持ちよくて、そこだけ何度か聴き返しました。
合わないと感じたところ
移動のほうに意識が向くと、話を聞き落としました。車で合流するときや交通量の多い道を走っているとき、電車で乗り換えや人の乗り降りがあるときは、気づくと場面が進んでいます。
運転中は手が離せないので、たいていは戻さずそのまま聴き進めました。話が飛んだように感じたときだけ、いったん止めて聴き直しています。
小説『対岸の家事』を無料で読む方法
小説『対岸の家事』を費用をかけずに楽しむなら、Audibleの無料体験を使う方法があります。
Audibleでは聴き放題の対象です(調査時点)。再生時間は12時間2分です。
Audibleは初回30日間が無料で、無料期間内に退会すれば費用はかかりません。無料期間が終わると月額1,500円で自動更新されます。
再生時間から計算すると、往復1時間の移動なら12日ほどで聴き終わる分量です。対象作品は入れ替わるため、聴く前に商品ページで確認してください。
小説『対岸の家事』に関するよくある質問
「対岸の家事」はなんと読みますか?
「たいがんのかじ」と読みます。ことわざの「対岸の火事」と読み方が同じで、「火事」が「家事」に置き換わったタイトルです。
単行本と文庫版はどちらを選べばいいですか?
これから買うなら文庫版で足ります。本編は単行本と同じで、文庫版のほうが加わっているものが多いためです。
文庫版の巻末には、詩穂の夫・虎朗を主役にしたスピンオフ「うちの奥さん、主婦だけど。」と、著者によるエッセイ「文庫版に寄せて」が収録されています。単行本の発売は2018年8月30日、文庫版は2021年6月15日です。
対岸の家事に漫画版はありますか?
漫画版はありません(調査時点)。版元である講談社の既刊一覧に並んでいるのは単行本と文庫版の2点だけで、コミカライズはされていません。
Kindle Unlimitedで読めますか?
読み放題の対象外です(調査時点)。そのため、Kindle版は単品購入になります。
読み放題の対象作品は入れ替わるため、購入前に商品ページで確認してください。音声のAudible版であれば、聴き放題の対象に入っています。
まとめ
『対岸の家事』の原作は、朱野帰子が書いた講談社文庫の小説です。1冊で完結していて、漫画版も続編もありません。
家事をすることを仕事に選んだ詩穂と、そのまわりで限界を迎えていく人たちが、章ごとに視点を変えて書かれています。立場の違う三人の事情が同じ重さで並ぶので、映像では流れていった時間を自分の速度で読み直せます。
Kindle Unlimitedの対象外ではあるものの、Audibleでは聴き放題の対象です。移動中に物語を進めたい人は、30日間の無料体験から試してみてください。
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