アニメ『秒速5センチメートル』を見て、原作の小説も読んでみたいと考える人は多いはずです。ただ、映像で知っている物語をもう一度たどるだけなら読む意味があるのかは、買う前に気になるところでしょう。
小説『秒速5センチメートル』は、そのアニメを監督した新海誠が自分で書いた原作小説です。文庫1冊で完結していて、通勤や通学の行き帰りだけでも読み切れる分量に収まっています。
この記事では、作品情報とネタバレなしのあらすじ、どんな人に向いているかを紹介します。筆者が2回読んだ感想と、Audibleで通しで聴いた感想もまとめました。
同じタイトルの本が何冊か出ているので、その見分け方や、Kindle Unlimitedで読めるのかといった疑問にも最後で答えています。
小説『秒速5センチメートル』の作品情報
小説『秒速5センチメートル』の基本情報は以下のとおりです。似た書名の本が並んでいるので、買う前に著者名を照らし合わせておくと間違えません。
| 書名 | 小説 秒速5センチメートル |
|---|---|
| 著者 | 新海誠 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| レーベル | 角川文庫 |
| 発売日 | 2016年2月25日 |
| ページ数 | 192ページ |
| 冊数 | 1冊で完結 |
著者の新海誠は、アニメーション映画『秒速5センチメートル』の監督その人です。別の作家がノベライズしたものではなく、監督自身が書いた原作小説にあたります。
本編は第一話「桜花抄」、第二話「コスモナウト」、第三話「秒速5センチメートル」の三話でできた連作です。
小説『秒速5センチメートル』のあらすじ
舞台は日本。遠くの相手とやり取りする手段が手紙だったころ、小学校で同じクラスにいた遠野貴樹と篠原明里、この二人の物語です。「桜の花びらが落ちるスピードは秒速5センチメートル」と教えてくれたのは、明里のほうでした。
小学校の卒業と同時に、明里は遠くの町へ転校していきます。気軽に会える距離ではなくなった二人は、ひと月に一度ほど手紙をやり取りするようになりました。
次の一通が届くのを待つあいだに、二人はそれぞれの町で中学生になります。顔を合わせないまま、手紙のやり取りだけが続きました。
そんなある日、貴樹は明里に会いに行くと決めます。電車を乗り継いで、明里の住む町までひとりで向かう計画でした。
ところが約束の日は大雪になり、乗った電車は駅に着くたびに長く止まります。待ち合わせの時間だけが、どんどん過ぎていきました。
小説『秒速5センチメートル』はこんな人におすすめ
小説『秒速5センチメートル』は、こんな人におすすめです。
- 通勤や通学の行き帰りだけで1冊読み切りたい人
- しばらく読書から離れていて、薄い文庫から戻したい人
- 登場人物が考えていることを細かく書いた小説を読みたい人
1冊で完結していて、中身は三話に区切られています。一話ずつが短いので、電車で数駅ぶんの時間でも切りのいいところまで進みます。文章も平易なので、読書から離れていた人が習慣を戻すきっかけにもなるでしょう。
逆に、腰を据えて長い物語に沈みたい人には、読み終わるのが早すぎると感じるかもしれません。
小説『秒速5センチメートル』を読んだ感想
筆者がはじめて読んだのは中学生のころで、数年前にもう一度読み返しました。通算では2回読んでいます。

よかったところ
読み返してあらためて感心したのは、貴樹の気持ちの書き方です。明里と離ればなれになると分かったとき、会いに行くと決めたとき、そのときどきで何を考えていたのかが細かく書かれていて、気持ちの動きを追いかけやすい文章でした。
とくに覚えているのは、雪で電車がなかなか進まないところです。時間だけが過ぎていく焦りが、読んでいるこちらまで苦しくなるくらい書き込まれていて、あのあたりだけページをめくる速度が落ちました。
貴樹の語りにも引き込まれました。思っていても口に出さないことまで地の文に置かれているので、中学生のときは自分のことを読まれているような気分になったのを覚えています。
景色の描き方も細かく、桜の花びらが落ちていくところや、雪の降る夜の駅、車窓から流れていく街の様子まで、読みながら頭のなかで絵になっていきました。
合わないと感じたところ
アニメを見たあとに読んだので、新しく分かることが少なく、物足りなさが残りました。
192ページはあっという間で、もっと読んでいたいところで終わってしまいました。
Audibleで小説『秒速5センチメートル』を聴いた感想
筆者が聴いたのはここ数か月のうちで、大学生になってから1週間だけインターンに通っていた時期でした。行き帰りの電車とバスのなかだけで再生し、その一週間で通しで1回聴き終えています。
よかったところ
よかったのは朗読です。セリフを人物ごとに言い分けているので、いま誰がしゃべっているのかを取り違えることがありませんでした。
とくに耳に残ったのは地の文の読み方です。雪で電車が止まっていくあたりは、声の速度が落ちていくのがそのまま焦りとして届きました。
手紙を読む場面も、目で追ったときより強く残っています。声に出して読まれると、本当に手紙が読み上げられているように聞こえました。
なお、三話はそれぞれ別の人が朗読しているのですが、聴いているあいだは読み手が替わったことをとくに意識しませんでした。
合わないと感じたところ
困ったのは、聞き落としたときに戻すのが手間だったことです。乗り換えのときや車内アナウンスが流れるあいだは、耳が物語から離れてしまいました。
混んだ電車では手も空いていないので、結局は戻さずそのまま聴き進めました。すでに2回読んでいたので話は追えましたが、はじめて触れる作品だったら分からないまま先へ進んでいたはずです。
小説『秒速5センチメートル』を無料で読む方法
小説『秒速5センチメートル』を費用をかけずに楽しむなら、Audibleの無料体験を使う方法があります。
Audibleでは聴き放題の対象です(調査時点)。再生時間は5時間24分で、朗読は話ごとに担当が分かれています。第一話が水橋研二、第二話が花村怜美、第三話が水野理紗です。
Audibleは初回30日間が無料で、無料期間内に退会すれば費用はかかりません。無料期間が終わると月額1,500円で自動更新されます。
再生時間から計算すると、往復1時間の移動なら6日ほどで聴き終わる分量です。
話ごとに分かれた分冊版も配信されているので、行き帰りで一話ずつ区切って聴く進め方もできます。
小説『秒速5センチメートル』に関するよくある質問
小説とアニメで内容は違いますか?
同じ物語です。別の書き手がノベライズしたものではなく、アニメを監督した新海誠が自分で小説にした作品にあたります。
映像と音楽で流れていた場面が、文庫1冊ぶんの文章に置き換わります。
アニメと小説はどちらが先ですか?
アニメが先です。アニメーション映画『秒速5センチメートル』の公開は2007年で、その物語を監督自身が小説にしたのがこの本にあたります。
いま書店で手に入りやすい角川文庫版は、2016年2月25日に出ています。
『秒速5センチメートル the novel』と同じ本ですか?
別の本です。『秒速5センチメートル the novel』は実写映画の小説版で、原作は新海誠、書いたのは実写映画の脚本を担当した鈴木史子です。角川文庫から2025年9月22日に出ています。
この記事で紹介しているのは、新海誠が書いたほうの『小説 秒速5センチメートル』です。書名がよく似ているので、買うときは著者名で見分けてください。
本編のほかに何冊ありますか?
関連する本が2冊あります。ひとつは加納新太が書いた『秒速5センチメートル one more side』(原作 新海誠)で、2011年5月20日に出た372ページの本です。もうひとつが、ふりがなつきで小学生から読める角川つばさ文庫版です。
漫画版もあり、こちらは清家雪子が描いた全2巻が講談社から出ています。大人が原作を読むなら、角川文庫版の1冊で足ります。
Kindle Unlimitedで読めますか?
Kindle Unlimitedの対象外です(調査時点)。読み放題では読めないため、Kindle版は単品購入になります。
読み放題の対象作品は入れ替わるため、購入前に商品ページで確認してください。冒頭だけであれば、Kindleストアの無料サンプルで試し読みできます。
まとめ
小説『秒速5センチメートル』は、アニメーション映画を監督した新海誠が自分で書いた原作小説です。文庫1冊で完結しているので、移動時間だけでも読み進められます。
貴樹の気持ちと、桜や雪の景色の描写が細かく書き込まれているぶん、映像では流れていった場面を自分の速度で読み直せます。
Kindle Unlimitedの対象外ではあるものの、Audibleでは聴き放題の対象です。移動中に物語を進めたい人は、30日間の無料体験から試してみてください。
Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。


コメント