『アルルカンと道化師』は、池井戸潤の半沢直樹シリーズの長編です。ただ、シリーズを1作目から読んでいなくても話が分かるのか、どこに位置する物語なのかは、買う前に気になるところでしょう。
本作は第1作『オレたちバブル入行組』の前日譚で、物語の時間はシリーズでいちばん前に置かれた作品です。講談社文庫の1冊で完結するので、シリーズをそろえなくても1冊だけで読み終われます。
この記事では、作品情報とネタバレなしのあらすじ、どんな人に向いているかを紹介します。筆者が学生のころと最近の2回読んだ感想と、Audibleで聴いた感想もまとめました。
単行本と文庫版で何が違うのか、続編はあるのか、Kindle Unlimitedで読めるのかといった疑問にも、最後で答えています。
『アルルカンと道化師』の作品情報
『アルルカンと道化師』の基本情報は以下のとおりです。
| 書名 | 半沢直樹 アルルカンと道化師 |
|---|---|
| 著者 | 池井戸潤 |
| 出版社 | 講談社 |
| レーベル | 講談社文庫 |
| 発売日 | 2023年9月15日 |
| ページ数 | 400ページ |
| 冊数 | 1冊で完結 |
著者の池井戸潤は、『下町ロケット』で直木賞を受けた作家です。本作は半沢直樹シリーズでは6年ぶりの新作として、2020年に刊行されました。
『アルルカンと道化師』のあらすじ
舞台は現代の日本。大手銀行の大阪西支店で融資課長を務める半沢直樹が主人公です。取引先に金を貸す立場にいて、支店の数字と本部の意向のあいだに立たされています。
ある日、半沢のもとに一件の案件が持ち込まれます。大手IT企業のジャッカルが、業績の落ちている美術系出版社・仙波工藝社を買収したいという話でした。
買収の仲介は銀行にとって大きな仕事になります。大阪営業本部はこの案件をまとめにかかり、強引な買収工作で話を進めようとしました。
半沢は本部の進め方に納得できず、買収に抵抗する側に回ります。やがて、この買収話の裏で何かが動いていることに気づきました。
手がかりになったのは、一枚の有名な絵でした。半沢はその絵に隠された謎を解こうと動きはじめます。
『アルルカンと道化師』はこんな人におすすめ
『アルルカンと道化師』は、こんな人におすすめです。
- 通勤や通学の移動時間で長めの1冊を読み進めたい人
- 会社や組織のなかの駆け引きを扱った小説を読みたい社会人
- 謎解きのある小説を探している人
- 半沢直樹シリーズを1冊だけ試してみたい人
シリーズものではあっても物語はこの1冊で閉じるので、全部そろえなくても手に取れます。銀行の駆け引きと絵をめぐる謎解きが並んで進むので、金融の話に詳しくなくても、謎のほうを追いかけて読めます。
逆に、1ページ目から勢いよく引き込まれたい人には、状況の説明が積み重なる前半が重く感じるかもしれません。
『アルルカンと道化師』を読んだ感想
筆者がはじめて読んだのは学生のころで、ここ数か月のあいだに2回目を読み直しました。通算では2回です。
よかったところ
引き込まれたのは、仙波工藝社に買収話が持ち込まれるところからでした。大阪営業本部が強引に話を進めようとするので、読みながら落ち着かない気持ちになりました。
銀行員が絵を調べていく展開そのものも面白かったです。別々に見えていた絵の謎と買収話がつながっていく組み立てには、素直に感心しました。
銀行のなかの力関係の描き方も印象に残っています。支店の判断が本部の意向で押し戻され、数字で評価される融資課長の立場がどれだけ窮屈なのかが伝わってきました。
美術系出版社という仕事の中身を知れたのは新鮮でした。畑違いに見える銀行の仕事と美術の世界がつながっていく流れは、読んでいていちばん楽しめた部分です。
合わないと感じたところ
序盤は入り込むまでに時間がかかりました。仙波工藝社の事情説明と登場人物の紹介が積み重なるあたりで読む速度が落ちて、2回目に読んだときも同じところで止まりました。
登場人物の多さにも苦戦しています。銀行側の行員と仙波工藝社側の人たちが頭のなかで混ざってしまい、1回目は関係をメモに書き出しながら読みました。
Audibleで『アルルカンと道化師』を聴いた感想
筆者がAudible版を聴いたのは、紙で1回目を読み終えたあとの半年から1年ほど前です。家事をしたり散歩に出たりしながら、通しで1回聴きました。

よかったところ
ナレーターの吉田健太郎の読み方は、全体としては淡々としています。手を動かしているあいだも耳が疲れず、再生速度を1.2倍ほどに上げても内容を取り違えることはありませんでした。
そのぶん、半沢が相手に詰め寄る場面では声の温度が明らかに変わります。銀行内の交渉や会議のやり取りでも引き込まれて、洗い物の手が止まりました。
紙で読んだときは頭のなかで平らに流していたやり取りが、声になると熱を持って聞こえたのも新鮮でした。
合わないと感じたところ
戻して聞き直すのが手間でした。人物の名前や立場を確かめたいときや、専門用語と数字の説明を取りこぼしたときに、そのたび止めて巻き戻すことになります。
聞き直しても追いつかないところは、あとで文庫を開いて読み直しました。絵の謎に関わる説明は、ながら聴きのままでは頭に入りませんでした。
頭のなかで人物を並べ直したくなったのは、仙波工藝社側とジャッカル側の人たちです。声だけでは名前と肩書きが結びつかず、もどかしさが残りました。
『アルルカンと道化師』を無料で読む方法
『アルルカンと道化師』を費用をかけずに楽しむなら、Audibleの無料体験を使う方法があります。
Audibleでは聴き放題の対象です(調査時点)。再生時間は9時間18分です。
Audibleは初回30日間が無料で、無料期間内に退会すれば費用はかかりません。無料期間が終わると月額1,500円で自動更新されます。
再生時間から計算すると、往復1時間の移動なら10日ほどで聴き終わる分量です。無料期間のうちに1冊まるごと聴き終えられます。
『アルルカンと道化師』に関するよくある質問
半沢直樹シリーズのどこに入る話ですか?
刊行された順ではシリーズの5作目ですが、物語の時間は第1作『オレたちバブル入行組』より前に置かれています。講談社も本作を、その前日譚として紹介しています。
シリーズを読んでいない人が最初に手に取っても差し支えありません。刊行順にそろえたい場合は、1作目から4作目までを読んだあとで本作に入る形になります。
続編はありますか?
本作より後に出た続編はありません。講談社の「半沢直樹」シリーズの既刊は全5作で、刊行順では本作が最後にあたります(調査時点)。
シリーズの並びは以下のとおりです。
- オレたちバブル入行組
- オレたち花のバブル組
- ロスジェネの逆襲
- 銀翼のイカロス
- アルルカンと道化師
単行本と文庫版はどう違いますか?
違うのは、出た時期と判型です。単行本は2020年9月17日に354ページで刊行され、文庫版は2023年9月15日に講談社文庫から400ページで出ています。
文庫版の書誌情報にも、単行本として刊行されたものだと明記されています。これから買うなら、持ち運びやすい文庫版で足りるでしょう。
Kindle Unlimitedで読めますか?
Kindle Unlimitedの対象外です(調査時点)。読み放題では読めないため、Kindle版は単品購入になります。
読み放題の対象作品は入れ替わるため、購入前に商品ページで確認してください。冒頭だけであれば、Kindleストアの無料サンプルで試し読みできます。
まとめ
『アルルカンと道化師』は、池井戸潤の半沢直樹シリーズの長編です。文庫の1冊で完結するので、シリーズを全部そろえなくても1冊だけで読み終われます。
大阪西支店に持ち込まれた美術系出版社の買収案件と、一枚の絵に隠された謎が並んで進んでいくのが読みどころです。銀行の駆け引きに絵画の謎解きが重なる組み立てが、この作品の手ざわりを決めています。
Kindle Unlimitedの対象外ではあるものの、Audibleでは聴き放題の対象です。家事や移動のあいだに物語を進めたい人は、30日間の無料体験から試してみてください。
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