言われた一言が頭から離れない。返信が来ないだけで落ち着かない。そういう疲れの正体を、ブッダの考え方で説明してしまうのが『反応しない練習』です。
この記事では反応しない練習の要約を、本が置いている6つの章の流れに沿って紹介します。仏教の本ですが、章のタイトルは「良し悪しを『判断』しない」のように日常の言葉で立てられています。
あわせて、読んだ内容を実生活でどう使うかと、Kindle Unlimitedの読み放題とAudibleの聴き放題で無料で読む方法までまとめました。
著者の草薙龍瞬は宗派に属さない僧侶で、Audible版は著者本人が朗読しています。紙で読むか音声で聴くかで迷っている人の判断材料にもなります。
反応しない練習の結論を一言でいうと
この本の結論は、悩みは出来事そのものではなく、そこに心が反応したことから生まれているということです。だから反応を止める方法を身につければ、悩みは消せると考えます。
土台になっているのはアドラー心理学ではなく、ブッダが説いた初期の仏教(原始仏教)です。出版社も「使える『原始仏教』入門」と紹介しています。
ただし、反応しないというのは感情を我慢して無表情でいることではありません。腹が立つ場面で、自分の心がどう動いたかをまず理解する。そこから入るのがこの本の順番です。
だから読み終わって手元に残るのは、気持ちを強く保つための精神論ではありません。目の前の出来事と、自分の心の反応を切り離して見る手順です。
反応しない練習の書籍情報
『反応しない練習』の基本情報は以下のとおりです。
| 書名 | 反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」 |
|---|---|
| 著者 | 草薙龍瞬 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| レーベル | 単行本(四六判) |
| 発売日 | 2015年7月31日 |
| ページ数 | 224ページ |
| 冊数 | 1冊で完結 |
著者の草薙龍瞬は、奈良県出身の僧侶です。中学を中退して16歳で家出・上京し、大検を経て東大法学部を卒業したあと、30代半ばで得度出家しています。
ミャンマーの国立仏教大学とタイの僧院に留学し、現在はインドで社会改善のNGOと幼稚園を運営しています。宗派に属さず、仏教を仕事や人間関係に使える形で伝えているのがこの著者の立ち位置です。2022年11月には朝日新聞の書評欄でも取り上げられました。
反応しない練習の要約
『反応しない練習』は1冊で完結する本で、第1章から第5章と最終章の6つに分かれています。悩みが生まれる順番をたどり、その途中で心が何をしているかを1章ずつ見ていく作りです。
扱われている考え方は、大きく次の5つに整理できます。
- 悩みの正体は心の「反応」だと理解する
- 出来事に良い悪いのラベルを貼らない
- マイナスの感情を握り続けない
- 他人の目を気にする状態から降りる
- 勝ち負けではなく自分の基準で判断する
悩みの正体は心の「反応」だと理解する
第1章が置いているのは、反応する前にまず理解する、という順番です。
いやな出来事があったとき、悩みを作っているのは出来事そのものより、それに反応した自分の心のほうだと考えます。出版社の紹介文にも、すべての悩みは不必要に反応することから生まれている、と書かれています。
言われた一言が一日中頭に残る場面が分かりやすいところです。言った本人はとっくに忘れていて、繰り返し再生しているのは自分の心になります。
だから最初にやることは我慢ではありません。いま自分は反応している、と気づいて言葉にするところから始まります。ここが本全体の土台です。
出来事に良い悪いのラベルを貼らない
2つめは、良し悪しを判断しないという方針です。
自分はダメだ、あの人は間違っている。こうした判断は事実そのものではなく、起きたことに自分があとから付け足したものだ、という見方をします。
たとえば返信が来ないとき、嫌われたというのは判断です。事実のほうは、返信がまだ来ていない、それだけです。
判断を手放すと、そこにぶら下がっていた落ち込みや怒りも一緒に外れます。1つめの「理解する」を、日常でいちばん回数の多い場面に当てた章といえます。
マイナスの感情を握り続けない
3つめは、マイナスの感情で損をしないという考え方です。
怒りや不満が出ること自体は止められません。この章が問題にするのは、その感情を握り続けたり相手にぶつけたりして、自分の時間と関係のほうを削ってしまう部分です。
理不尽な指示に腹を立てて言い返したとします。その場で勝っても、帰り道でずっと同じ場面を思い出しているなら、削られているのは自分の時間になります。
感情そのものを否定するのではなく、持ち続けないための扱い方を置いているのがこの章です。
他人の目を気にする状態から降りる
4つめは、他人の目から自由になる、という章です。
他人の評価は相手の心の中で起きていることなので、こちらから動かせません。動かせないものを気にし続けるのは、悩みを増やす側に回るだけだと整理します。
スマホを開けば他人の評価が目に入る今の生活だと、ここがいちばん効く場面かもしれません。出版社の紹介面でも、スマホやネット、他人の評価に「ムダに反応」しない生活として説明されています。
評価を気にする自分を責める話ではありません。気にしている自分に気づいて、そこから降りるという方向づけです。
勝ち負けではなく自分の基準で判断する
最後は競争との付き合い方です。
第5章は競争そのものを否定していません。「正しく」競争する、という条件を付けているだけです。
勝ち負けで自分の価値を決めていると、比べる相手が変わるたびに評価が揺れます。そこで最終章では、考える「基準」を自分の中に持つところへ着地します。
他人と比べて決めるのをやめて、自分の基準で判断する。ここまで並べると、第1章の「反応しない」が生活のどこに効いてくるのかが見えてきます。
反応しない練習を実生活でどう活かすか
読んだあとに手をつけやすいのは、次の3つです。
- 気持ちが動いた瞬間に「いま反応した」と言葉にする
- 事実と、自分が付け足した判断を紙の上で分ける
- 相手の評価と、自分がやることを別々に書き出す
1つめはその場でできます。むっとした瞬間に、心の中で「いま反応した」と言うだけです。言葉にすると、腹を立てている自分を一歩外から見る形になります。
2つめは書いたほうが早いです。気になっている出来事を1行ずつ並べて、「返信が来ていない」は事実、「嫌われた」は判断と分けていきます。判断の側に印を付けた行が、自分で足したぶんです。
3つめは分かりにくいところです。相手からどう思われるかと、自分が明日やることを、同じ紙の左右に分けて書きます。左側は自分では動かせないので、手をつけるのは右側だけと決めておきます。
ただし3つを同時に始めると続きません。1つめの言葉にするところだけを1週間試すあたりが現実的です。
反応しない練習はこんな人におすすめ
『反応しない練習』は、こんな人におすすめです。
- 人の言葉やSNSの反応をいちいち引きずってしまう人
- 気持ちの整理のしかたを、考え方の土台から知りたい人
- 通勤や通学の時間で自己啓発書を1冊読み切りたい人
悩みの正体を心の反応として説明する本なので、原因を人間関係の外側に探しません。四六判の1冊完結で、章のタイトルも「良し悪しを『判断』しない」のように日常の言葉で立ててあります。1冊読み切れば考え方の全体像がそろうので、続編や関連本を追わなくても足ります。
逆に、仏教の話が出てくること自体に抵抗がある人には向きません。
反応しない練習を無料で聴く方法と読む方法
『反応しない練習』は、Amazonの読み放題と聴き放題のどちらにも対応しています。費用をかけずに読むなら、この2つの無料体験を使う方法があります。
Kindle Unlimitedで読む
Kindle版はKindle Unlimitedの読み放題対象です(調査時点)。単品で買わなくても、そのまま読みはじめられます。
Kindle Unlimitedには、はじめて使う人向けの無料体験があります。無料体験の期間と、終わったあとの月額料金は登録画面で確認してください。
読み放題の対象作品は入れ替わります。読みはじめる前に、商品ページで対象になっているかを確認してください。
Audibleで聴く
Audible版も配信されていて、こちらも聴き放題の対象です(調査時点)。朗読しているのは著者の草薙龍瞬本人で、再生時間は5時間35分です。
Audibleは初回30日間が無料で、無料期間内に退会すれば費用はかかりません。無料期間が終わると月額1,500円で自動更新されます(調査時点)。
再生時間から計算すると、往復1時間の通勤や通学なら6日ほどで聴き終わる分量です。
反応しない練習に関するよくある質問
仏教の知識がなくても読めますか?
出版社の紹介は使える「原始仏教」入門で、専門課程の教科書ではありません。章のタイトルも「他人の目から『自由になる』」のように日常の言葉で立てられています。
ただし説明の土台はブッダの教えです。宗教の話をいっさい挟まずに手順だけを知りたい場合は、期待とずれるかもしれません。
文庫版は出ていますか?
文庫版は刊行されていません(調査時点)。用意されているのは単行本と電子版、Audible版の3つです。
通勤中に持ち歩けるサイズですか?
四六判で224ページ、重さは216gです。文庫より一回り大きい程度なので、かばんに入れて持ち歩く分には困りません。
片手で吊り革を持ったまま読むのがつらい場合は、電子版かAudible版のほうが向いています。
実践編や続編はありますか?
実践編として『これも修行のうち。 実践!あらゆる悩みに「反応しない」生活』が出ています。同じKADOKAWAから2016年4月に刊行された221ページの本です。
本書が考え方の説明に重心を置いているのに対して、こちらは日常での使い方に寄せた1冊になっています。
Audible版は書籍と同じ内容ですか?
ほぼ同じ内容です。Audible版は著者本人が朗読する特別版で、朗読に合わせて一部の言葉や文章が変えてあると案内されています。
オーディオブックだけの特別メッセージも収録されています。書籍を読んだあとに聴いても、重なるだけにはなりません。
『嫌われる勇気』とはどう違いますか?
どちらも人間関係の悩みを扱いますが、土台にしている考え方が違います。『嫌われる勇気』はアドラー心理学、『反応しない練習』は原始仏教です。
他人の課題に踏み込まない線引きから入るのが前者で、自分の心の反応に気づくところから入るのが後者になります。『嫌われる勇気』の中身は嫌われる勇気の要約でまとめています。
まとめ
『反応しない練習』は、悩みは出来事ではなく心の反応から生まれている、という一点を6つの章で説く本です。まず理解するところから始まり、判断を手放し、感情を握り続けず、他人の目から降りて、最後は自分の基準を持つところへ着地します。
手順書ではないので、読んだだけでは何も変わりません。むっとした瞬間に「いま反応した」と言葉にする、そこだけを1週間続けてみるくらいから始まります。
Kindle Unlimitedの読み放題とAudibleの聴き放題は、どちらも対象です。著者本人の朗読で聴けるのは音声版だけなので、移動時間に読書をあてたい人は30日間の無料体験から試してみてください。
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